ワーキングプアが増える背景には非正規雇用の増大が原因の一つと考えられています。非正規雇用は雇用されている人の3分の1、1600万人にも及びますが、バブル崩壊後の1990年代から、日本の企業が人件費を削るために正社員の採用を抑えてきたという問題が根底にあるのも一因です。
フリーターと呼ばれる非正規雇用は企業が終身雇用という責任から開放されたおかげで増加の一途をたどったわけです。バブル崩壊後、10年以上が経過して景気は回復したと言われていますが、実際には売り上げが上がったことよりも、こうした企業の過去にかけていた人材を0から育成するコストを大幅に削減できたことも大きいと言えます。
ワーキングプアの増大の問題は、すべての格差をなくして平等にするということではなく、一定の努力の後には最小限度以上の生活が保障されるというシステムをどう再構築するかという問題なのです。